<2002.4.13>  早春の岩魚釣

・・・・ 曇りのち雨 (冷え込む) ・・・・


       <源流域の入り口>

”こんな筈では無かった・・!”


中々這い出せない 寝袋の中で呟く

季節は随分先へと進んでる筈では無かったか

其れにしてはこの冷え込み 3シーズン用の

シュラフには辛い。

視界へ入り出す谷を眺めながら はやる心を

抑えるように過ごす 至福のコーヒータイムも 

今朝はパスすることにした。

寝袋の温もりが 行動へと移る決心を妨げるが

”えい・・!”とばかり 思い切って車外へと出る

車止めの水溜りには 薄っすらと氷まで残る

”オイ オイ”  ”まるで真冬じゃん!”

ガタガタ震えながらも 身支度を済まし

流れへと急な斜面を駆け下りる・・と言いたいが

足がスムーズに前へと進まない ほんと

笑うしかない。

渓水を手に顔を洗うと 身を切るような冷たさで

地下足袋での遡行には 少々無理が有ったか?

余り使う事のないウエーダーが 今日程恋しく

感じた事は無かった。

      <今シーズンの初物>

    <早くも起き上がり出すコゴミ>
落ち込み脇の巻き込みに見える 黒い沈み石に張り付くヤツを誘うと モゾモゾと渋い々当たりに

充分に送り込み軽く竿先を煽ると 冷え切った魚体が胸に飛び込んでくる 今シーズンの初物は

9寸ばかりの 居着き岩魚だった。


久しぶりに忘れ掛けていた場所へと向かう もう随分前の事になるが ビール瓶位の岩魚を掛け

足場の悪さと相手のサイズに 釣友の目前で逃げられる事になった 苦い思い出の残る所だ。

雪崩後が残る斜面を注意深く踏みしめ 十数年振りの谷に立つ 渓相は大分変わってしまったが

見覚えの有る岩が幾つか目に留まる 下手の深淵へ向かう相棒を見送り目の前の落ち込みへと

立つ  えさ箱から一番大きそうな”みみず”をつまみ 特大の針へとチョン掛けし 手首の返しで

送り込むと・・・・・。 

岩陰の弛みから流芯へのヨレで 目印が一気に引きずり込まれる! 腕いっぱいの合わせに

大型岩魚が良く見せる下流に向けての逃走 落ち込みをひとつふたつと下る ついて釣師も走る

応援は!と目をやるとそこには同じ様に竿を曲げる相棒の姿 ”こりゃ駄目だ!” 岩魚の下手に

回り込み 岸側へと竿を寝せると 赤っぽい岩に寄り添うように浮き上がる岩魚 そっと首周りに

左手を回し 一気に握り締め岸へ走る。  想い出の物には及ばないが尺二寸程の居着きだ


駈け寄り背嚢から取り出した ビールを差し出す相棒・・・。        ”憎いやつめ。”

                                                  OOZEKI